映画『Jason Becker: Not Dead Yet』は最高のヒューマンドキュメンタリーだった

映画『Jason Becker: Not Dead Yet』観てきた。

ALSに罹患した若き天才ギタリストの生い立ちや周囲の人々のインタビューなどで構成されたドキュメンタリー。

Jason Beckerっていう人はヘヴィ・メタルの世界ではかなり著名なギタリストらしい。マーティ・フリードマンと共演してたり。十代でデビューし評価され、元ヴァンヘイレンのデイヴィッド・リー・ロスのバンドに参加することが決まる。アルバムを製作しツアーが始まる矢先にALSが発症し、ツアー参加は中止。絶望的な早さで病気は進行し、あっという間にギターは弾けなくなり、車椅子になり、どんどん身体は動かせなくなり、気管切開し人工呼吸器・経管栄養での生活となる。

世界的なバンドに加入しいよいよツアーというところでのALS発症は絶望でしかなく、幼少期から培ってきた技術が失われていくのは無惨で見ていられない。それでもこの映画を支えているのはJason Beckerという人間の魅力で、その音楽的才能はもちろん、前向きに生きる姿勢が素晴らしい。うまく表現できないが本当に魅力的な人物であり、愛される理由がよくわかる。

ALSに関して言えば、身体が動かせなくなり気管切開をして声が出せなくとも、これほど自分らしく生きられるということが伝わればいいなと思う(もちろん周囲の献身的なサポートがあればこそだが)。彼は身体が動かせなくとも音楽を紡ぐ。冗談を飛ばす。

しかしALSという狭い括りでとらえなくても、一人の魅力的な人間を描いた最高のヒューマンドキュメンタリーである。音楽・テンポ・映像表現も素晴らしく飽きさせない。もちろん音楽は全編に渡ってJason Beckerによるもの。おすすめです。